Fantasic★Travel

□02.いろいろな苦難-A
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女の人は不満げに手帳をなおした。

ちゃんと仕事をしろ!!




「お名前と、出身地をご記入ください」
「はいはーい」
「ん?なんだ。この…‘特技’の欄」

あたしも首を傾げた。
何のために必要なのかわからなかった。

「この大会では出場者様の紹介をする際にその人の特技を言うんです」
ハルに受付嬢の人は上目遣いで答えた。

…オイ。

「へ―、面白いな!!じゃあ俺は…」
「小さいくせに態度はでかい」

「てめえ…」
ハルはピクリと口を引き攣らせた。



「貴方の…そ、それ!」
「え?」

机に座っていた女の人はいきなり立ち上がりハルの腕を掴んだ。
「魔法剣!!」

「え…あぁ。そうだけど」


彼女はハルの背中にある不思議な光沢の剣を見つめ、声を上げた。
「きみ、使えるの!?」

「使えるけど」
ハルは彼女の勢いに圧されてたじろいだ。

「嘘でしょ!!信じられないわ!今年は2人も魔剣士が出場するなんて!!すごい客寄せよ!」
彼女の瞳は歓喜で輝いていた。

その途端、ハルとシドの肩がびくっと動いた。



「魔剣士?」
「…魔法剣を使う剣士のことだよ」
首を傾げたあたしにシドが言った。
なぜか若干顔が青ざめているように感じるのは気のせいだろうか。


へ―…じゃあハルって魔剣士なんだ!

そんな大層なものに見えないけど。
だってあたしにとっては、ただのムカつくチビだもの。


「その魔法剣使う奴、どんな奴でした?」
なぜか青ざめているハルは顔を引き攣らせながらそう言った。


 
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