Fantasic★Travel
□02.いろいろな苦難-A
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群衆の頭上に高くそびえるのぼりを目当てに、先ほど見つけた【競技大会】の受付へ向かった。
ドアを開けると中は沢山の人に溢れていて、あたし達は受付の机がある後ろの壁まで人ごみをかき分けて進まなければならなかった。
「ね、ねえハル」
「なに」
「なんか…ここにいる人みんな…」
ムキムキしているんですけど…。
とゆうかたくましい。
あきらかに武道家ってかんじ。
ほとんど熊のように大きくて、
まるでのこぎりのような刃物を肩から吊るしていたり、片腕が剣だったりと…いろんな意味で派手なんだ。
とゆうか超人のレベルだ。
「そうか?よく見てみろよ」
「え?」
ハルの言われた通り目をこらすと、普通の体格の人もちゃんといた。
剣士だったり、ローブを羽織った魔法使いだったりと、いろんな人が居る。
なんと驚いたことに女性も何人か居るみたいだった。
ハルとシドを見て少し頬を赤らめている。
みなさーん、顔に騙されてますよー。という喉まででかかった言葉を飲み込んだ。
女の人がいることに安心したが、なんだか優勝することばかり考えていたあたしはハル達が勝てるのか不安になった。
「ハル、…怪我しないでね」
「おう……って、え!?」
ハルは目を見開いて勢いよく振り返った。
なぜか尋常じゃないくらい驚いて、口をぱくぱくさせている。
「な、なん、どうし…!!?」
「だから怪我しないでねって……あれ、どうしたの?熱?」
ハルの顔と耳が朱色に染まっている。
「どうしよう!!?熱なら参加しちゃ駄目じゃ…」
「お前がめずらしいこと言うからだろ!!」
赤くなったハルはあたしを睨む。
「…真っ赤」
ついぽろっと口から言葉が出てしまった。
その途端、ハルは口に手をあてて何か言いたそうにあたしをじろっと見た。
なにかが不服だったようで、怒ったようにハルはつんっと前を向いた。
「?」
人の流れで流されそうになったあたしの手を掴んだハルの手が熱かったのは、本当に熱かもしれないとあたしは心配になった。
「あのー、参加したいんですけどー」
のんびりとしたシドの声に、受付の女の人が振り向いた。
シドを、そしてハル見てうっすらと頬を染めた。
なぜかあたしは見なかった。
「は、はい!!じゃあここにお名前を記入して下さい!!」
そう言って差し出したのはなぜか女の人の手帳。
「…あの、こっちじゃないんですか」
あたしは横の入れ物に入れてある黄ばんだ紙を指差した。
「…チッ」
舌打ちされた…
呆然と女の人を見る。