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□Prismatic love 〜気づけば世界は虹色で〜
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 本日の気温39℃。

 眼前にそびえるビル群は、ユラユラと熱を跳ね返し、容赦なく俺に降り注ぐ。

――あつい。暑いというか熱い。

 まだ七月初旬なのにこの陽気。39℃って、初夏通り越して真夏もビックリな気温じゃねーか……。
 手をかざして頭上を仰ぎ見れば、真っ青に広がった(だろう)空が出迎えてくれた。
 “だろう”というのは、今の俺には色の区別なんかがつかないからで。

 いや別に、俺が色覚異常であるとかそういうんではなく。

 平日の午後。太陽が真上に昇り詰めた日差しの中で、俺は今にも倒れそうなほど弱っていた。

 それもこれも、取引先のあのオヤジがあーだこーだ難癖付けてきたからだ。
 おかげさまで戻る時間が大幅に遅れ――結果、こんな日差しの一番強い時間帯に、俺は外で意識をトばしそうになっている。

 入社して5年目。もういい加減、社会の荒波にも慣れてはきたけれど。それでも、会社の外回りなんてのはホント嫌な役目だ、と思わずにはいられない。
 暑い日と寒い日なんか特に。

「いや……てゆーか、もう、マジ限界……」

 ちょうどよく、少し先に公園が見えた。レンガ敷きの地面に、中央にある噴水から水が滴り落ちていて、なんとも涼しそうな公園だった。


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