一般の館
□さよなら、大好きな人
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その日、私は夢をみた。
どこか知らない国の海岸に立っていた私。
月が綺麗で、思わず目を細めて見上げた。
と、人の気配を感じた。
辺りを見渡してみると、波打ち際に男の人が倒れているのに気付いた。
「ちょっとあなた、大丈夫!?しっかりして!!」
慌てて駆け寄り抱き起すと、その人の顔が月明りではっきり見えた。
(うわ・・・、すごい美形)
状況も忘れてそんなことを考えると、その人が声を漏らす。
「う・・・ん・・・」
(!!)
そしてうっすらと目が開き、彼の目が私を映した。
「き、み・・・は・・・」
ひとまず意識が戻ったことに安心し、彼の質問に答えようとした。
だが、
(あ、れ・・・?)
意識が遠のく。
ああ、そうか。
これ、夢だったんだもんね。
彼と話せなかったことを少し残念に思いながら、私の意識は現実へと浮上した。
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