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□だけど好きなのは俺もアホだから
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「白石、おはよーさん」
「謙也に財前か。おはようさん」
「オハヨーゴザイマス白石部長」
おい財前。お前はそんなに俺が嫌いなんか?
そう思わずにはいられんほどの後輩の態度に若干ヘコんでいると、
「ん?そういえば千歳は?一緒やないんか?」
謙也が、今の俺にとって最大の爆弾を落としてくれた。
「・・・知らんわ、あんなヤツ」
「・・・珍しい。なにかあったん?ケンカでもしたんか?」
苦笑混じりに聞いてくる謙也。
別に強制やないけど、なんとなく話さんといかん雰囲気になって、しぶしぶ口を開いた。
隣の財前は、明らかに『どうでもいいッスわー』って顔をしとるけど。
「昨日千歳ん家に行ったんやけどな」
「おん、知っとる。千歳、部活の時間からテンション上がっとったし」
「いつも以上にキモかったッスわ」
・・・・・・財前の言うことは無視や無視!
「で、一応付き合ってるわけやし、ヤることはヤるやろ?」
「えらくハッキリと・・・。まぁ、そうやな」
「けどな、昨日疲れてて、一回が限界だったんや。千歳にもそう言うたんに、あのアホ・・・!!」
思い出しても腹がたつ。
嫌やって言うたけど、力はあの男の方があるから押さえつけられてそのまま。俺やって力がないわけやないけど、あの馬鹿力には勝てるわけない。
またイラついてきた時、隣から謙也たちの視線を感じた。
ああ、そういえば二人に話してたんやっけ。
「スマンな、謙也。朝からこないな話して」
何となく気恥ずかしくて謝った。
「ええよ、別に。ちゅーか、俺が話させたようなモンやし」
苦笑とはいえ、謙也の笑顔にはホンマに癒される。現に、さっきまでのイライラが少し治まってとるし。
「俺は別に聞きたなかったッスけどね」
財前、少しは謙也を見習えや!!
千歳といい財前といい、謙也くらいの癒し効果があればええのに。
そんなことを考えていると、それにしても、と謙也が呟いた。
「白石って、千歳のことホンマに好きなんやな」
「へ?」
「やって、ホンマに嫌なんやったら、いくら千歳相手でも逃げられるやろ?」
そう言われて口を噤んだ。
そう、なによりムカつくのは、流されてしまった自分自身。本気で抵抗しとらんし。
結局、俺は千歳が好きなんやって思い知らされる。
「そう、かもなぁ」
「そうやって!あーあ。結局ノロケられたってことやん」
謙也の言葉に、思わず顔が赤くなる。と、その時、
「くーらーーーー!!!」
後ろからめちゃくちゃデカい声が聞こえた。見なくてもわかる、千歳の声。
謙也のおかげで少しはイライラがなくなったけど、やっぱりムカつくから無視することにした。
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