版権の館

□だけど好きなのは俺もアホだから
1ページ/3ページ


「白石、おはよーさん」

「謙也に財前か。おはようさん」

「オハヨーゴザイマス白石部長」


おい財前。お前はそんなに俺が嫌いなんか?

そう思わずにはいられんほどの後輩の態度に若干ヘコんでいると、


「ん?そういえば千歳は?一緒やないんか?」


謙也が、今の俺にとって最大の爆弾を落としてくれた。


「・・・知らんわ、あんなヤツ」

「・・・珍しい。なにかあったん?ケンカでもしたんか?」


苦笑混じりに聞いてくる謙也。
別に強制やないけど、なんとなく話さんといかん雰囲気になって、しぶしぶ口を開いた。
隣の財前は、明らかに『どうでもいいッスわー』って顔をしとるけど。


「昨日千歳ん家に行ったんやけどな」

「おん、知っとる。千歳、部活の時間からテンション上がっとったし」

「いつも以上にキモかったッスわ」


・・・・・・財前の言うことは無視や無視!


「で、一応付き合ってるわけやし、ヤることはヤるやろ?」

「えらくハッキリと・・・。まぁ、そうやな」

「けどな、昨日疲れてて、一回が限界だったんや。千歳にもそう言うたんに、あのアホ・・・!!」


思い出しても腹がたつ。
嫌やって言うたけど、力はあの男の方があるから押さえつけられてそのまま。俺やって力がないわけやないけど、あの馬鹿力には勝てるわけない。

またイラついてきた時、隣から謙也たちの視線を感じた。

ああ、そういえば二人に話してたんやっけ。


「スマンな、謙也。朝からこないな話して」


何となく気恥ずかしくて謝った。


「ええよ、別に。ちゅーか、俺が話させたようなモンやし」


苦笑とはいえ、謙也の笑顔にはホンマに癒される。現に、さっきまでのイライラが少し治まってとるし。


「俺は別に聞きたなかったッスけどね」


財前、少しは謙也を見習えや!!

千歳といい財前といい、謙也くらいの癒し効果があればええのに。

そんなことを考えていると、それにしても、と謙也が呟いた。


「白石って、千歳のことホンマに好きなんやな」

「へ?」

「やって、ホンマに嫌なんやったら、いくら千歳相手でも逃げられるやろ?」


そう言われて口を噤んだ。
そう、なによりムカつくのは、流されてしまった自分自身。本気で抵抗しとらんし。
結局、俺は千歳が好きなんやって思い知らされる。


「そう、かもなぁ」

「そうやって!あーあ。結局ノロケられたってことやん」


謙也の言葉に、思わず顔が赤くなる。と、その時、


「くーらーーーー!!!」


後ろからめちゃくちゃデカい声が聞こえた。見なくてもわかる、千歳の声。
謙也のおかげで少しはイライラがなくなったけど、やっぱりムカつくから無視することにした。






次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ