一般の館

□いつか貴方と
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愛してはいけない人を愛してしまいました。
そのことを悔いるつもりはありませんが、時々胸が苦しくなるのです・・・。


「巳乃和、すまぬ、遅くなった」

「滝沢様」


逢い引きの場に現れたのは滝沢愼太郎様。この地域を治める滝沢家の跡取り息子で、私の想い人。
そして、私がお仕えする宮内家にとっての敵。
できることならば、知りたくありませんでした。知らなければ、この愛を貫くことができるのですから。
滝沢様は、まだ私の正体を知りません。ですが、そう遠くない内にわかってしまうでしょう。
宮内家のくのいちと言えば、戦の相手となる家に脅威を与える忍。確実に滝沢家もその正体を調べているはずですから。

戦が始まった時、それがこの愛の終わる時なのです。



赦されないことと知っていても、私は貴方を愛しました。

この愛が長く続くことはないと、いつか別れがくると、貴方もわかっているのでしょう。

だから願うのです。

赦される立場でもう一度貴方に出会えることを。

そして、いつか貴方と、もう一度愛し合いたいのです・・・。





end

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