短編集

□永遠の約束
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―『俺が晴れにしてやるよ』

―『ホントに?約束だよ?』


「っ。ハァ・・・ハァ・・・」


昔の夢を見た。
まだ、貴方の後を一生懸命ついて歩いていたころの夢。

楽しみにしていたのに、雨のせいで出かけられなくなった。
大泣きした僕をなだめるのはいつも、親ではなく貴方だったよね。


「まったく・・・。もう4年生だろ?ほら、そんなに泣くなよ。また今度行けばいいだろ?」

「っ、だっ、て、前もそうだったも、ん。『また今度』って言っ、たのにぃ。っま、た雨、降、るもん・・・。あ、めな、んか、っだいっきらい」


そう、僕は所謂『雨男』ってやつで、何かある時はほとんどが雨だった。


「あー、もう。わかったよ。今度の時は俺が晴れにしてやるから。な?」


なかなか泣き止まない僕に、貴方はそう言ってくれたね。


「ほん、と、に?」

「ああ。だからもう泣くな。な?」

「うん!」


えらいえらい。

そう言って頭をなでてくれる貴方の手が大好きだった。


「わー、すごい!ホントに晴れたよ!お天気お姉さんは『雨だ』って言ってたのに!」

「だから言っただろ?俺が晴れにするって。俺、天気の神様と友達だからさ、今日は晴れにしてくれって頼んだんだ」


そう言って笑う貴方が、徹夜でてるてるぼうずを作っていたこと、ホントは知ってたんだ。
でも、知らないフリした。

約束を守ってくれたことが、何よりうれしかったから。


「今日だけじゃなくてさ、なにかある時は俺が晴れにしてやるよ。お前が泣かないようにな」

「ホントに?約束だよ?」

「ああ、任せとけって」


俺、おまえに泣かれるの弱いからさー。

そう言って、照れくさそうに笑う貴方が大好きだったよ。



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