短編

□百合のように真っ白な君へ
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庭師に手入れされた花は綺麗だと思う



けど、されていない

例えば公園とか山とか、素人が手入れしてる庭とか



それは 綺麗だとは思わない



色がぐちゃぐちゃだ
バランスもめちゃくちゃだ
指揮者がいないオーケストラのように

てんでバラバラ
自己主張が強かったり弱かったり

不協和音だ



それは俺にとって雑音で耳障り
…というか目障りだ








けど









一つだけ

たまたま見かけたその花は


美しいと思った










白百合








ごったになった草木の中で特別目立つわけでもなく
息をひそめてるのでもなく

ただ凛とした姿で咲いていた



他の色じゃダメだ
他の花でもダメだ




白百合




白だけが 百合だけが 美しく咲く





混沌の中で放たれる

純白の輝きは


俺を魅了した





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