短編

□叶えぬ願い
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※ヒロイン名前変換なし
※考え方がちょっと変。人によっては酷い←

大丈夫な方のみ、ご覧ください。
















「なぁ、もし俺が、殺してって頼んだらお前はどうする?」




そう私の彼氏である元親が呟いたのは私の部屋に来て、何をするわけでもなくのんびりと過ごしていた時だった。










「…何、急に?殺して欲しいの?」

「いや、もしもの話だよ…」


突然、変なことを言い出す元親に眉を潜めて、読んでいた漫画から目を離す。
首だけをグリンと回して元親を見れば、彼の手元には一冊の小説が確認できた。

確か、あの小説は随分前に買ったやつだ。
内容は……死にたがりの恋人に殺して欲しいとせがまれて、最終的に殺しちゃう…っていう話だったかな。


……あぁ、だからそんなことを聞いてきたのか。



「……逆に元親はどうなのさ?」

「俺か…?」

「私が、殺してって頼んだら殺すの?」

「……かもな」


肩を竦めて、元親は眉をハの字に歪めた。
何て顔してんだ、コイツ。
真面目に考えすぎだろ馬鹿。


「この話だとな…」

「うん」

「殺されるのが彼女の幸せで、彼女の幸せを心から願う彼氏は彼女の願いを叶えてやんだ」

「あぁ……そういえばそんなのだったかな…」


元親にそう言われ、ぼやーっと内容を思い出す。




愛しい人に殺されて死にたい。
そうすれば、私は幸せだから。

そう言った彼女に対して、彼氏の方は確か…泣くんだ。
別れるのが辛くて、悲しくて、彼女を失いたくなくて…。


でも……優しい人っていう設定だったから。
結局は、彼女の幸せを優先しちゃうんだ。
殺して、彼女を幸せにして……。




「最後には、人殺しで刑罰……」

「結構内容覚えてんだな」

「酷いよねーその小説」





でも、愛の話だ。
とてもとても深い愛のお話。








「そうか、元親は私の幸せを優先してくれるのか」

「実際そんなこと言われたら、絶対困るがな」

「そりゃそうだろ」

「んで…?お前はどうなんだ?」


元親は、本を机に置くと、私の寝そべっているベッドに腰掛けた。
そして、私の顔を覗き込んでくる。
近いぞ、オイ。





「私は……」



































「殺さない」


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