novel

□雨なのに、来やがった
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雨だ。
じめじめする。
家から出たくない。
つか、出ねぇ。
仕事ねぇんだからよ。
テレビを見ながらぼーっとする。

ピンポーン
……誰だ?
「はーい、静ちゃん元気ぃ?」
なぜ入れる。
まぁ、別にいいからほっとくことにする。
「静ちゃん、し、ず、ちゃーん!」
首だけ動かして臨也を見る。
「んだよ」
「鍵、なんで俺が持ってるかとかさ♪」
なんか笑ってやがるうぜぇ。
まぁ、聞いてやる。
「なんで臨也が俺のうちの鍵をもってやがるんですか?」
「なにその棒読み。まぁ、いいやそれはねぇ、俺がスペアをつくったからですー。」
「へぇー」
もういいだろ、テレビみさせろ。
臨也から視線を外しテレビに視線を戻す。
「……。ねぇ、静ちゃん。」無視する、うぜぇ。

話そうよ、静ちゃん。
「そーだ、静ちゃん。お揃いのカップを買おう。」
「あ?無かったっけか。今度買いにいくか。」
「え、うん。」
えっ、いいんですか?
少し調子にのってみる。
「はぶらしも!」
「ふざけんな」
すかさずリモコンが飛んでくる。
静ちゃんは正気だ。
てか、カップがよくて何故歯ブラシがだめなんだ?
まぁ、いいか。
しばらく遊んでみる。

「ねぇ、静ちゃん。大好き。」
「そりゃ、どーも。」
なにその普通の返事。
照れるとかしようよ。
そして、テレビを見てないで俺をみよーよ。

今、思ったんだけど
静ちゃんちに俺との写真あったらうれしい。
んー、じゃ言ってみるか。「ねぇ、静ちゃん。ここに俺との写真はろーよ。」
そういうと静ちゃんはテレビから目を外して俺をみる。
「いやだ。」
はっきりと俺の顔を見て言う。
ちょっと、傷つきました。だから、理由を聞いてみる。
「なんで?」
すこし悩んだあとんー、と言って話しはじめた。
「いらねぇかなと思って。」「だからなんで!」
「んー、いまお前はここにいるから写真いらねぇだろ?」
え、いやそうかもだけど。「俺、いつでも隣にいれないよ?」
「それはいんだよ。会いたくなったら俺から会いにいくから。本物のがいいじゃねぇか。」
……。
そーですね?
え、すげぇうれしい。
さりげないデレですか?
あ、でも顔赤くない。
素でそんなこと思ってるってこと?

静ちゃんの隣に座る。
少しこっちを見て少しあいた距離を詰める静ちゃん。会いにくるなんて面倒でしょ。
だったらさ
「毎日、静ちゃんに会いに来てあげるよ」
真っすぐ前を向いたままいう。
「あーそれいいな」
静ちゃんも、前を向いたままいう。
俺はすぐ横にある手の上に自分の手を重ねる。

そのまま、俺たちはテレビをじっと見ていた。

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