novel

□俺の勉強の醍醐味
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「単位がやべぇ」
これがテスト前の静ちゃんの口癖だ。
それさぁ、自業自得だよね。だから、留年しちゃえばいい。なんてわけにはいかない、一緒に進級したいしさ。だからこうやって教えてる。

「わかんねぇ!」
待って静ちゃん。
それさ、解き初めてから3秒しかたってないよ?
「わりぃ、さっきのお前の説明はわかったんだ。でも、これはわかんねぇ。教えてくんねぇか?」
机に向かっていた顔上げて俺にいう。
だから、結果上目遣い。
かわいー。
なんか抱き締めたいんすけど。
だめか。
しょうがないから教えてやるよ。

「はい、次英語!」
静ちゃんが無言になっちゃった。
どーしたんだろ。
静ちゃんの目の前で手を振ってみる。
「おーい。」
「……、臨也ひとついっていいか?」
静ちゃんが真面目な顔で俺にいう。
「え、いーよ」
「俺は日本人だ!!!」
いや、真面目な顔でそんなこと叫ばれても。

頭を抱える静ちゃんを一通り楽しんだあと、次は、次はと教科を変えていく。

最後は物理だった。
真剣に悩む静ちゃん。
途中で何回も俺に聞こうと顔を上げたけど、それではダメだ、と目を下に落とす。
あのー、いいですか?
可愛いんですけど!
抱きしめたい。
………。
よし、静ちゃんを教えたご褒美だよね。
後ろからそーっと寄って抱き締める。
「…、てめぇ何やってやがる。」
「静ちゃんを抱きしめてる。」
「わかってる。なんでだ?」「静ちゃんがかわいいから」「意味がわかりません」
「♪」
「俺はもうちょい勉強するから」
少し静ちゃんは顔を隠すようにうつむいた。
「そのままでいろ」
そういった静ちゃんは耳まで赤くて思わず叫んだ。
「静雄、らぶ!」
「はぁ?///」
おもいっきり振り向く。
顔真っ赤だよ。

こんな静ちゃんと来年もいれたらなぁと思う。

とりあえず、目の前の少し傷んだ金髪に顔を沈ませて幸せを感じることにする。

ちなみに臨也はせこかった。静ちゃんに出した問題全部テスト問題。
静ちゃんがテストで不思議に思ったのはまた別の話。

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