英国物語ルキア【完結】
□リクエストステージ「揺章」
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「今日で3日めかぁ。まだ一週間あるねぇ、一護」
「何がだよ、水色」
本日は屋敷周辺の草むしりに時間を費やしながら執事2人はのどかな世間話にいそしむ。
「朽木さんの事に決まってるじゃない。またまたトボケちゃってー。寂しいくせに?」
「寂しくねえよ!たかが10日間里帰りしてるぐらい!」
「ふーん?じゃぁどのぐらいから寂しくなるの?」
「はぁ!?」
「僕は好きなコと離れ離れなんて1日でも寂しいけど。一護は寂しくならないんだ」
「…そりゃおまえ、気の持ちようだろ…」
「えええー」
「なんだよその顔…」
「楽しそうだね」
くすくす笑いの声に遮られて2人は顔をあげる。
「お、雛森。おまえも草むしりチーム入りか」
「うん、屋敷内のことはあらかた終わっちゃったから。社交シーズンも終わったし、これからまた時間に余裕ができるね」
にこにこと座り込み袖をあげながら「でも朽木さんがいないと屋敷内が静かな気がしない?」と確信犯で一護に微笑みかける。
「…なんで俺に聞くんだよ」
「え?だって黒崎くんが一番寂しがってるかなって」
「だよね?」
「なんでそーなるんだよ!俺は別に!」
「そういうの、素直に言える男にならないと、愛想つかされちゃうかもよ?」
「別に恥ずかしい事じゃないのに」
ねー、と声をあわせる2人に一護は「うぜぇ」と顔をしかめる。
「そんなん人それぞれだろ」
「寂しくないの?」
「くどい」
「会いたいな、とか、思ったりしないの?」
「…」
雛森の問いかけに、一護の視線が宙に浮く。
「それは…まぁ、…思うけど」
口をとがらせて言う一護に、2人は同時に悲鳴を上げた。
「ええええ会いたいとは思うんだ!?」
「ぎゃー!何このスゴイ恥ずかしい人!むっつりスケベ!」
「ちょっと待て水色なんでそうなる!?つかお前さっき恥ずかしい事じゃないっつってたろ!?」
「一護は素直なとこと意地張るとこのバランスがおかしいんだよ!」
「なんだよバランスって!」
「キミたち全然作業進んでないじゃないか!何を騒いでるんだ!?」
大騒ぎの3人に石田が声をかけ、その石田もまたその渦に巻き込まれていく。
「ちょっと聞いてよ執事長!」
「てめぇら黙れ!石田!聞かなくていい!」
松本邸は、本日も平和に時を刻んでいた。
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