英国物語ルキア【完結】

□リクエストステージ「揺章」
2ページ/12ページ




「今日で3日めかぁ。まだ一週間あるねぇ、一護」

「何がだよ、水色」

本日は屋敷周辺の草むしりに時間を費やしながら執事2人はのどかな世間話にいそしむ。

「朽木さんの事に決まってるじゃない。またまたトボケちゃってー。寂しいくせに?」

「寂しくねえよ!たかが10日間里帰りしてるぐらい!」

「ふーん?じゃぁどのぐらいから寂しくなるの?」

「はぁ!?」

「僕は好きなコと離れ離れなんて1日でも寂しいけど。一護は寂しくならないんだ」

「…そりゃおまえ、気の持ちようだろ…」

「えええー」

「なんだよその顔…」

「楽しそうだね」

くすくす笑いの声に遮られて2人は顔をあげる。

「お、雛森。おまえも草むしりチーム入りか」

「うん、屋敷内のことはあらかた終わっちゃったから。社交シーズンも終わったし、これからまた時間に余裕ができるね」

にこにこと座り込み袖をあげながら「でも朽木さんがいないと屋敷内が静かな気がしない?」と確信犯で一護に微笑みかける。

「…なんで俺に聞くんだよ」

「え?だって黒崎くんが一番寂しがってるかなって」

「だよね?」

「なんでそーなるんだよ!俺は別に!」

「そういうの、素直に言える男にならないと、愛想つかされちゃうかもよ?」

「別に恥ずかしい事じゃないのに」

ねー、と声をあわせる2人に一護は「うぜぇ」と顔をしかめる。

「そんなん人それぞれだろ」

「寂しくないの?」

「くどい」

「会いたいな、とか、思ったりしないの?」

「…」

雛森の問いかけに、一護の視線が宙に浮く。

「それは…まぁ、…思うけど」

口をとがらせて言う一護に、2人は同時に悲鳴を上げた。

「ええええ会いたいとは思うんだ!?」

「ぎゃー!何このスゴイ恥ずかしい人!むっつりスケベ!」

「ちょっと待て水色なんでそうなる!?つかお前さっき恥ずかしい事じゃないっつってたろ!?」

「一護は素直なとこと意地張るとこのバランスがおかしいんだよ!」

「なんだよバランスって!」

「キミたち全然作業進んでないじゃないか!何を騒いでるんだ!?」

大騒ぎの3人に石田が声をかけ、その石田もまたその渦に巻き込まれていく。

「ちょっと聞いてよ執事長!」

「てめぇら黙れ!石田!聞かなくていい!」

松本邸は、本日も平和に時を刻んでいた。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ