英国物語ルキア【完結】
□捩章(後編)
2ページ/21ページ
(知られちゃった)
織姫は深い悲しみの中にいた。
(黒崎くんには知られたくなかったのに)
自分の汚れた過去を。身体を。
(…嫌われたよね)
侮蔑するような狭量な性格でないとわかってはいても、自分を追い詰める事を止められない。
少なくとも
想いが叶う可能性は潰えたのではないかと。
他の誰に知られても、こんなに哀しくはならなかっただろうと。
おまけに、『仕事』の途中で無様に逃げ出したとあっては、仕事仲間としての地位すら危うい。
織姫の頭の中には、いくつもの一護の表情が浮かんでは消える。そして最後には哀れむような顔を想像して泣きたくなった。
自室で膝を抱き小さく震えながら唇を噛む。
(くるしいよ…)
(誰か、たすけて)
『黒崎くん』
.