@

□過去拍手
2ページ/17ページ


チョコレート




「ケーキ作ってきた!!」


それはまたご大層な…
俺が甘いもの、苦手なこと知っているだろうに。



「そんな嫌そうな顔すんなって!!ちゃんと甘さ控えめだからっ」

コイツは…ケーキのことになると、異常に嬉しそうだ。



「ていうか、俺が食えないくらいビターだから」


お前が食えなくてどうする;



「限のために作ったんだけど…やっぱりいらない…??」

コイツはいつも、変なところで気を遣う。
さっきまで、あんなに食わす気満々だったのに。



「いや…貰う…」
「やった!!」


取り出したチョコレートケーキ。
別段甘い匂いはしないから…本当にビターらしい。



「はい…あ〜ん」


「は!?」
「そんな拒否んなって!!い〜からっ」

いいからって…
そんな恥ずかしいことを…;(困)



「嫌なの…(泣)??」
「ぅっ…;」

嘘泣き…
分かっているのに、弱いから呆れる
(自分に)



「ぁ」

情けないが、口を開けて。
するとすぐに、ケーキが口に入った。

目の前では、クスクス可笑しそうに笑う奴。



「おいし??」
「……まぁな」
「うわ、微妙な感想!!」


ほろ苦さが広がる…正直、おいしいと思った。



「まぁ、食べてくれたから…いいや」

どこか嬉しそうに、コイツ自身も食べた。



「………苦い…」
「…;」
「カカオ80%はやりすぎたかな…」

あぁ、あの体にいいってやつか。



「でも嬉しいよ、ありがと」

たかが食べただけなのにな…。



でも、どんなに甘いチョコレートより、お前の笑顔の方が、よっぽど甘い。
その甘さなら嫌いじゃない。

いや…逆に好きだ。



「また…作れ」

お前の笑顔つきで。



「!?」

驚いた顔をして…

「うん!!」

笑った。





チョコレート(お前の笑顔には、敵わない)
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ