@

□例えば
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「早く片付けたらどうだ…」

「………片付けない奴に言われたくない!!」


フン、と視線を釣り鐘に戻す。
滅すればいいだけなのだが、何となく触れてみた。



「…ぃっ…たぁ……」


指が切れた。
引っかかるところでもあったのだろう。



「はぁ……」


血が流れる。
意外に傷は深いようだ。

何も出来なかった自分には……ちょうどいいのかもしれない。



「ぉい」

「何??」


また呼ばれたので、振り返る。



「何を考えている…」


どこから取り出したのか…切れた指に布を巻き始める。



「ぁ…どうも…」


俺は素直に巻かれる。

そういえば、“何を考えている”って聞いたんだっけ??
何だろ……ぅ〜ん…



「何もできなかったなぁ、って」



例えば、時音みたいに、志々尾に合わせて結界を張っていくこと…自分にはできたかな??





っていうかコレ





……嫉妬??



「しっ…と…」

「は…??」


声に出してしまった…(焦)

志々尾と上手くいった、時音に嫉妬してる。



「なっ…何でもねぇ…」


“コレさんきゅうな”とだけ言って、釣り鐘を片付け、その場を後にした。
 
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