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□情けなさも君のため
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「何回やったら気が済むんだ、お前は!!」
「す…すみませ…」
「もういい!!できるまで1人でやってろ!!」
ピシャンッと襖を閉め、翡葉さんは行ってしまった。
今日は酷く暑い真夏日。
俺はまた、力を制御できずに、翡葉さんを怒らせてしまった。
自分の出来の悪さ+この暑さで集中できない……ときた。
好きだから……怒らせたくなどないのに…
言われた通り、できるまでやろう。
今日は頭領もいないし
(=止める人がいない)。
褒められることを望んでいるのではない…ただ、呆れられたくないのだ。
「…はぁ…」何をやってんだ自分は。
あの蒸し暑い部屋に、志々尾を1人、置いてきてしまった。
アイツはきっと、俺の言った通りにするだろう。
まだ何も知らない、純粋な子供。
怒鳴ったってしょうがないことは分かっている…だが、甘やかすことが、アイツの為になるとは思えない。
力の制御ができなければ、結局、傷つくのはアイツ自身なのだ。
だからと言って…
あれからどれくらい経っただろう。
もうかれこれ1時間か…
そろそろ見に行こう…
今日は頭領がいないから…無理をしていても、止める人間がいないかもしれない。
「おい…開けるぞ」
一応言ってから襖を開ける。
そこには…
倒れ込む志々尾の姿
「志々尾!?」
抱き上げた小さな体は、酷く汗をかいていて、息が荒い。
熱中症かもしれない。
「ったく…誰が倒れるまでやれと言ったよ!!」
とは言ってみるものの…どう考えても、悪いのは俺だ。
志々尾を布団の上に寝かせ、襖を全開にする。
運良く、さっきから涼しい風が吹き始めていたため、体を冷やすにはちょうどいいだろう。