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□例えば
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「俺が囮かよ!!」
「頼んだわよ、良守」
志々尾が、狐みたいな妖の、ドロドロしたものに捕まった。
しかも釣り鐘みたいなものに閉じ込められて。
「俺はいいから、早く殺れ…」
閉じ込められる前、そう言っていたけど…
この狐、変な煙幕を張る。
時音が立てた作戦は、俺が囮で、その間に時音が志々尾を助け出すもの。
助け出した後は、俺が狐を結界で上へ飛ばし、そこを志々尾が仕留める。
予定通り、事が進む。
結界で飛ばすと、志々尾の動きに合わせて、時音が結界を張っていく。
俺は呆然と、それを見ているだけ。
《すげぇ…》
はたから見れば、息ぴったり。
「あ…」
志々尾は、ついに狐を仕留めた。
俺は、何ができたろう…??
ーー…
狐によって破壊された釣り鐘のそばに行く。
この中に志々尾がいて…破壊される瞬間に、時音が助け出した。
俺は何もできていない。
ボーっと、片付けるわけでもなく、釣り鐘を見て…
「ぉぃ…」
「ひぃ!?」
驚いて後ろを向けば、志々尾の姿。
「なっ…おま…いつもみたいに帰ったんじゃないのか!?」
慌てすぎていると、自分でも分かる。