備浮+仁染仁でまさかの兄弟パロ

□きっかけは米
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ふら付きながら階段を登るその後ろ姿には見覚えがあった。

肩下まで適当に伸ばされた黒い髪。少し大きめのブレザー。膝下まであるスカートに学校指定の白いソックス。
間違い無い。毎日教室で見てるんだ。間違える筈も無い。

ここで勘違いして欲しく無いが自分は教室の一番後ろの席で奴はその前の席だからつい視界に入ってしまうだけであって断じて好意を持っている訳じゃ、無い。
むしろ今時そんな格好をしている…まあ、クラスで浮いている奴とでも言っておこう。出来る限り関わりたく無い部類の人間だ。

だが今の奴の状況はつい日本人のお節介精神を沸かせられる物がある。

そうこう考えてる内に自分の隣りを歩いていた小学2年生の従兄弟が早足で階段を駆け上がって行った。



「おい!」
「ん?」
「荷物持ってやるよ!」



小さい身体から聞こえた男らしい台詞と振り返った黒い頭にモロモロ予感が的中して思わず後頭部を掻いた。

やめろ。いや。やめとけ竜吾。

その女は以前日直のプリントを運ぶ時手伝おうかと言って来た男子生徒(下心無し)の好意をバッサリ断ったんだぞ。
しかも1度や2度じゃなく女子生徒にも変わらずのバッサリを貫き通すから、心身共に変わり者のレッテルを張られているんだ。
だから竜吾。そんなカッコよく両手突き出した所で…



「…じゃあ…、お願いしようかな」
「おう!」





………。



……………は?





幻聴かと思ったが小2の従兄弟は奴から荷物を受け取ろうとしている。
それも軽い方を渡されて、納得出来なかったのか奴がもう片方の手に抱えている米を指差している。

そんなぐだぐだやってると無視して帰られるんじゃー…渡した。あいつ米渡した。
しかもちゃんと下の方支えてやってる。手慣れてる。嘘だろ?



だが最後まで傍観するには2人共あまりにも不安定なポーズだったため、結局数秒前の従兄弟と同じ様に早足で階段を駆け上がった。


と、タイミングがいいのか悪いのかバランスを崩した奴が俺に向かって倒れて来た。





 
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