poem

□KotonoHa
1ページ/200ページ

『蝉時雨の中で』

夏の夕方
蝉時雨
部屋の窓際に
座り込み
彼方の空を
眺めては
風鈴の音
切なく心に
染み入って
背中に君の気配を
感じながら
振り向かずに
想いを迷わせる

期待させないで

想いが届かぬとき
私はきっと
壊れてしまうから
君の視線が背中に
突き刺さる

ねぇ君は何を思うの?

私は同じ空を
眺めては
溜め息をついて
想いを迷わせる

やがて夜がやってくる
暑さが少し和らいで
内輪入らずの時間
微風が入り込む
おでこを撫でる風
瞳を閉じて深呼吸

振り返った
視線を合わせず
カーテンを閉める

“また明日”

心の中で
そう呟いて
想いを
心にも
カーテンを引く

私の想いは
いつまで
彷徨うのだろう

暗くなった部屋
再び窓際に
座り込み
風鈴の音に
耳をかたむける

蝉の声が
弱くなっていく
やがて
蛙が鳴き出す


-2007.8.15-
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ