Short story
□『木漏れ日』
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木漏れ日を見ていたんだ。君も同じように、今、この空の下で見ていたら…と思いながら。
夏が始まった。
平日の休み。ぬるい風が俺の体に幻を見せる。
「かき氷作ったよ。イチゴとメロンどっちにする?」
そこに存在しない君の笑顔が見える。暑さと孤独で俺の心は歪んでいるんだ。
朝から暑くてたまらない。だるくて水浴びする気にもなれない。
気だるい体を起こして、冷たい水で顔を洗う。髪についた水滴に俺は笑う。
「髪についた水滴ってセクシーだよね」
また、君が見える。
短パンにティシャツ。
サンダル。
そういえば、全部君からもらったものだ。夏に生まれた俺にプレゼント。
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