Short story
□『手紙』
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あなたから届いた一通の手紙。私とあなたが好きだったクローバーの便箋。
幸せになろうね。
付き合って二年、口癖で毎日のように言っていた。
あの頃の私はあなたとの未来を疑わなかった。このままきっとあなたと年をとっていく。
おじいちゃんおばあちゃんになったら、縁側にお茶と和菓子に…あ。隣に猫だよね。なんてこと話してた。
手紙には女の子みたいなあなたの優しい文字…二枚の便箋。
「ハッピーバースデー!君との日々は僕にとってかけがえのない宝物だよ。この手紙が届く頃には僕らはどうしてるのかな」
彼は愛してるという言葉は言わなかった。ともに不器用でおっちょこちょいで…お互いのことを理解していたし、言葉にしなくても通じあっていたから、愛の言葉は必要なかった。
どこでつまづいたんだろう。気が付いたらあなたと距離が出来ていた。
「僕は君に会えて本当に幸せ者だ」
私もだよ。涙が流れた。蘇る日々が温かすぎて今…すごく寒いよ。
「僕には君だけだ」