○伊達主従

□貪欲、熱、情事
1ページ/2ページ


其れはまるで、戦場を駆け抜ける青い竜
真白な頬が、返り血で赤く染まった
そうして、至極楽しそうに
其れで居て、至極官能的な笑みを浮かべる主君


今夜は忙しくなりそうだ、と
頭の片隅で思った









『Ha,今回も楽な戦だったな』



『政宗様の御活躍が有ればこそ、です』



『おい、小十郎』



『はい』



『今夜、俺の部屋へ来いよ』



『……畏まりました』






戦後は、何時もこうだ
昂ぶった感情を抑えられぬのか
はたまた、抑える気が無いのだろうか




主は、毎回毎回
情事を求める




此の関係が始まったのも、そう最近の事では無い
初めて身体を重ねた、初陣の時から
幾度と無く、此の行為は繰り返され続けて
命令だ、と謂われてしまえば、其れに従うしか無いのだから








『は、ァ、ぁあ…ッ!』



『ッ、政宗様…』





薄暗い室内
淫猥な音が響いて、聴覚を犯す
戦場で染み付いた、血生臭い臭気が辺りを包んで
主の薄い唇から漏れる声は、甘く溶ける
其れら総てが、熱を含んで俺を捕らえた

時折、物足り無いと謂う様に腰を揺らして
妖しく唇を歪めて、妖艶な笑み







本当に、性質が悪い。







次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ