ゆらのと

□第二部 一、
2ページ/19ページ

志村新八、眼鏡をかけたおとなしそうな少年だ。
しかし、亡き父から受け継いだ剣術道場の道場主でもある。
だが、廃刀令が施行され、その取締りも厳しい現在では、道場を護り続けるのは難しい。
姉のお妙がキャバクラでアルバイトして、どうにか暮らしていけているようだ。
「てめーはのんきでいーよなァ」
軽く言い返し、銀時は神楽を背負いなおした。
仕事の帰りである。
銀時は、万事屋、というなんでも屋をしている。
新八と神楽は押しかけ従業員だ。
もっとも、給料をほとんど払えていないのだが。
しかし、それでも、ふたりは辞めようとはしない。
遠い星から地球に密航してきて万事屋で寝泊りしている神楽はともかくとして、新八には家があり他にちゃんと稼げる仕事を探してもよさそうであるのに。
しかも、どうしてだか、命をかけなければいけないような危険な状況になることがよくある。
それでも、ふたりは去らない。
それどころか、銀時がひとりで行こうとしても危険を承知でついてくる。
今日もそうだ。
あたりまえのように三人で大勢を相手に戦った。
そのあと、神楽はパタッと倒れて「もうダメアル、歩けないアル」と銀時に自分を背負うよう主張した。
本当は歩けるだろうとは思ったが、銀時は神楽を背負ったのだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ