ゆらのと

□第一部 二、
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自分は同性に対してそういう感情は抱かない。
そのはずであるのに。
夢を見る。
夢の中で、桂が着ているものをみずから脱ぐこともあれば、自分が脱がせることもある。
その裸体は女のようにほっそりとしているものの男のものだ。
それを自分は抱く。
夢の中であっても男の身体である桂を、抱く。
桂のほうから誘ってくることもある。
自分のほうが迫り、それを桂があっさり受け入れることもある。
あるいは。
嫌がる桂を無理矢理に犯すこともある。
はっきりと拒否の言葉を口にし、抵抗している桂を、力ずくで組み敷いて、きものを奪い取るようにして普段は隠れているところをはだけさせ、逃れたがっているその白く細い身体を押さえ込み、強引に自分を受け入れさせる。
「……銀時?」
夢の中ではない、現実の、今、隣を歩いている桂がいぶかしげに名を呼んだ。
「どうかしたのか?」
首をかしげている。
秋のゆるい黄金色の光が桂にも落ちている。
銀時は眼を細めた。
桂はなにも知らない。
夢の中で銀時に何度も犯されていることを知らない。
「どうもしねェよ」
銀時はぶっきらぼうに答えた。
そして、顔を背ける。
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