小説
□好きです。
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試衛館をでて、近くの大きい石に腰掛けた。
僕まだ稽古着のままだ。
空は暗くなりかけていて、人通りもかなり少なくなっていた。
時折吹く風が髪を舞い上げ、ちょっと肌寒さを感じた。
今日は土方さん、来ないのかな……。
昨日も一昨日もその前も、彼は稽古が終わるまでには道場にきていた。
毎日顔を合わせているから、会えないっていうのは物寂しい。
会いたいなぁ…。
…来て…くれないのかな…。
あたりはいつの間にか真っ暗になっていた。
ハァ…と、思わず溜め息が漏れる。
だんだん眠気が襲ってきて、瞼が下がってきた。
…ダメだ。戻らないと近藤先生が心配する……。
わかってはいるが、睡魔はどんどん襲ってくる。
「……ひじかたさん…」
宗次郎は夢の中に入っていった。
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