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□Growth promoters
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−Stage.0−
[いつもいっしょ]
「「あーすーらーん、あーそーぼっ」」
綺麗なユニゾンを奏でる小さな男の子と女の子は、もみじのような手を互いに握り合いながら、
行き慣れた、豪邸の前にいた。
『あら、キラくんに、カガリちゃん』
カメラ付きのインターホン越しに聞こえたのは、この豪邸の主の妻、レノアの声。
普段は家政婦がマニュアル通りの対応をするのだが、この時刻に限っては、レノアが出る習慣ができていた。
レノアはくすくすと笑いながらいつもの優しい声で
『カガリちゃん?また木の枝でインターホン鳴らしたのね?』
カガリと呼ばれた女の子は(手を繋いでいない方の)手に持っていた小枝を慌てて隠した。
「み、みてたの?」
カガリはもじもじとしながら、ばつが悪そうな表情を浮かばせた。
『ふふっ、見てたわよ〜?』
勿論、見えていたはずも、カメラに写った液晶画面から枝が見えたわけでもないが、いつものカガリの手段の可愛らしさを、レノアがからかっているだけだ。
「おぎょうぎわるいんだよ、かがりは!」
「だってわたし、“ピンポン”とどかないもん。きらもとどかないだろ」
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