東方発情祭

□東方発情祭
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東方発情祭

第一話「祭の発端」

深夜、満月とこれまた満天の星空が広がって、ほとんどの者が寝静まった頃、博麗神社にて。
博麗の巫女、博麗霊夢は神社の母屋の方で勿論熟睡していた―こっそりと天井に隙間をあけて見ている妖怪がいることをいざ知らず。
八雲紫は、真っ暗な闇の中、神社の境内で、わざわざ境界を操る自分の能力を使ってまで、霊夢の寝顔を盗み見ていた。
惚れ惚れとした表情を浮かべて。
「やっぱ、霊夢の寝顔は最高ね、いつも夜のお供のお世話になってます☆」
頭だけを隙間に突っ込んで、尻を突き出すという端からみれば奇妙な格好をしながら、怪しげな独り言をつぶやく。
夜のお供とはなんのことだかは触れないでおこう。
―不意に甘い熟した苺のような香りが漂う。
「なにかしら、この苺の香り…近くに苺なんて生えてたかしら」
苺の香りは神社中に広がっていき、紫は段々ある衝動にかられた。
今まで手を出さないと心に決めたはずなのに―しかし紫の自制心は抑えつけられなくなっていく。
その衝動とは―霊夢を襲うこと。
「な、なんだか、ムラムラしてきたわ…!」
鼻息荒く、紫が隙間に入り込もうとしたときだった。
ぽん、と軽く肩に手をかけられる。
「だ、誰?!」
紫はびくっとして後ろを振り向くとそこには、
「ねぇ、どいてくれない?その隙間から霊夢のところに行きたいんだけど。」
幼き紅い月と異名を持った吸血鬼―レミリア・スカーレットがとても不機嫌そうに立っていた。
「お、お嬢様…」
その後ろにはレミリアの従者、十六夜咲夜があたふたした様子でいる。
「何の用よ?」
レミリアだとわかって、紫は不快そうにした。
「だから、邪魔なんだけど。」
レミリアと紫の間の空気が不穏になっていく―今にも一触即発しそうな雰囲気だった。
「どうしてそこにいるの?」
「そっちこそ聞きたいんだけど、今から霊夢とランデブーするんだから邪魔しないでよ」
「はあ?霊夢は私とランデブーするって運命で決まってるのよ!」
両者は睨み合う。
一方咲夜はあたふたしたままだ。
「つるぺた貧乳」
「年増ババア」
ほぼ同時に2人はスペルカードを取り出した
「紫奥義 弾幕結界!」
「神槍 スピア・ザ・グンニグル!」
色鮮やかな光が飛び交い、凄まじい様相だった。
咲夜は爪を噛んでじーっとその様子を見ていたが、
「お嬢様を襲いたいだなんてメイドにあってはならないことだけど… 奇術 ミスディレクション!」
咲夜も加わり三つ巴(?)の戦いになり、更に醜い様相が繰り広げられていく。
霊夢の布団の中をがさごそ漁るとある飲んべえの鬼がいることを知る由もなく。
「ゲラゲラゲラ」
一方、物陰で何者かが腹を抱えて笑っていた。

「発情香の威力は強大ね☆」
夜は深まっていく―
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