確かなメロディー(弐)

□第六十六話 奇襲
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あれから…



「あの…どうせな露西亜寿司でいいっすか。自分の分の金は自分で出しますから」



静雄さんのデコピンからなんとか回復した正臣君の提案で、ご飯は結局露西亜寿司になった。


ヴァローナさんは嫌そうな表情をしていたけど、説得すると渋々だけど了承してくれた。



「俺、サイモンにも一つ御礼言わなきゃいけねぇ事があって……」

「なんだよ、サイモンとも知り合いなのか?」

『それは、えっと……』

「そりゃ、黄巾賊のリーダーだったんだからよ、それなりに顔も広いだろうよ」


あぁトムさん……せっかく言わないでおこうと思ってたのに…


正臣君の表情が少し固くなっていく……



「……さっきから気になってたんだが、黄巾賊に嫌な思い出でもあんのか? だったら悪いな。もう触れねぇよ」



トムさんがナイスに気を遣ってくれたのに、

そこに入ってきたのは一番空気を読めていないヴァローナさん



「疑問が存在します。黄巾賊の存在時期は西暦にして遡る事1000年を軽やかに凌駕します。その指導者が現代社会に存命しているとは思えません。それとも、この少年は首無しライダーと小異な魑魅魍魎的存在ですか?」

「……お姉さん、なんか言葉使いはミステリアスで色っぽいっすね」

『あはは……ヴァローナさんには、一から教えた方がいいですね…』



流石に正臣君も少しはひいたらしい…



そっか…そういえば黄巾賊って、三国志に出てくる盗賊みたいな集団から名前を取ったんだったっけ。

名前はカッコいいけど、中学生が始めた小さなグループが、まさか街一つ変えてしまうような集団になってしまったなんて……


私が言うのもなんだけど、何だか可哀そうでもあり、悲しくも感じられた。



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