確かなメロディー(弐)
□第六十四話 後輩達の問題
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川越街道某所 新羅のマンション
静雄さんが向かったのは、やっぱり新羅さんとセルティのマンションだった。
それにしても…
幽君の飼い猫である独尊丸(ネーミングセンスは置いといて)は、どうも静雄さんの頭の上が気に入ったらしく、さっきからずっとそのままでいる…
おかげでドアを開けた途端爆笑した新羅さんが、部屋の反対側まで蹴り転がされてしまったのは言うまでも無い…
新羅さん…何というか…
お大事に、です…
そして今
広々としたリビングには、新羅さん、セルティ、何故かいた杏里ちゃん、静雄さん、私、幽君、ルリさん、それから独尊丸と、なんとも不思議な面子がそろっていた。
『杏里ちゃん、元気だった?』
「あ、はい。お久し振りです先輩」
静雄さん達が先ほどの話をしている横で、私と杏里ちゃんで話していた。
『こんな時間にここにいるなんて、何かあったの?』
「いえ、大した事じゃないんですが…ちょっと、気になる事があって…」
『気になる事?』
聞き返すと、膝の上に独尊丸を乗せたままの杏里ちゃんは少し俯いて話し始めた。
「最近、なんだか帝人君の様子がおかしいんです」
『帝人君の…?』
そういえば、もう随分会ってない気がしているけど…
「はい…私の気のせいかもしれませんが、何ていうか、凄く明るくなって、楽しそうなんです。
まるで……紀田君が居た時みたいに」
………
どう答えればいいか、私はわからなかった。
今、帝人君がどこで何をしているのかはわからない。
でも、あの黒沼君達が彼を自分のチームに引き入れた事だけはわかっている。
…彼らに何か悪い影響でも与えられたのかな……
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