風舞の音に散る花

□第卅肆話
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慶応三年 十二月


あの夜から、まだ一ヶ月も経っていない。

私も総司さんもだいぶ回復して動けるようになった頃、ようやく油小路での事件の事を知らされた。

一時は変若水を飲まない限り生きられない大怪我をした平助君も、まさに九死に一生を得て少しずつ元気になっている。


……まぁ、その時何が起きたかは、確かな事は教えてもらえなかったけど…


ともかく、御陵衛士が無くなったことで斎藤さんも平助君も新選組に戻ってきてくれたのは喜ばしい限りだったけど、新選組が元に戻ったわけではない。

油小路と同時に屯所が襲われた時の死者も、怪我人も多い。

それに、斎藤さんや平助君達が一般の隊士達に陰口を叩かれているのだ。

斎藤さんが間者として潜っていた事は公表されていないので、伊東さん派が不利になったと見るや裏切って戻ってきたと思われているらしい。

でも公表してしまえば、汚いやり方だと局長や副長達にまで批判の声が上がってしまうかもしれない…

その為、怪我で動けない平助君はともかく、斎藤さんはほとぼりが冷めるまでしばらく屯所を離れて仕事をする事となった。

もちろん、屯所と斎藤さんの間を結ぶのは姉様の役目

今は、紀州藩の公用人である三浦休太郎という人の護衛の為天満屋に滞在していると聞いた。





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