確かなメロディー(弐)
□第六十一話 証
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翌日 お昼過ぎ
「もう帰るの? せめてもう一泊ぐらいしていきなさいよ」
『そうしたいんだけど、また学校も仕事も始まるから』
私達はそろそろ家を離れる事にした。
まとめた荷物を玄関に起き、最後にお母さん達と挨拶することにしていたんだけど、
お母さんが何かと引き留めようとして長引いてしまいそうだった……
「でもほら、都会って空気悪いんでしょ?」
『もう慣れたって』
「夜も昼間みたいに明るいんでしょ?」
『…まぁ、確かにここよりかは明るいけど』
「一歩外を出たら周りは変な目だからけとか」
『………お母さんの中の東京ってどんな所なのよ…』
「だって失敗なんですものー」
お母さんはハンカチで涙を拭いてみたりする。
演技かと思えばリアルなんだからこれが……
「大切な一人娘が見知らぬ地で危ない仕事をしていると思ったら…私もう心配で心配で夜も眠れないのに…」
『………』
「大丈夫です遥香さん。桜の事は、俺がちゃんと守りますんで」
『静雄さん…』
「…そぉ? なら大丈夫そうね」
『早っ!!?』
私の説得には応じなかったくせに、静雄さん相手ならそんなあっさり考え変えちゃうんだ!?
……そんな母親だ
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