風舞の音に散る花

□第廿漆話
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ある日の夜――



『…姉様、今日も帰ってこない…』


そろそろ布団に入っていい時間なのに、姉様は帰ってこない。


今日も、また一人で寝なきゃいけないのかな……


そう思うと、無意識に溜息が出た。

寂しい、訳ではない。

ただ、この所嫌な感じがして仕方がない。

今まで静かだった何かが、ゆっくりと動き始めるような…

光が消えて代わりに闇が広がるような…そんな感じ……


『…ううん、私が考え過ぎちゃってるだけよね。早く寝よう』


両頬を二、三度叩いて不安を祓い、私は布団に潜り込んだ。

明日姉様に会えたら、今度こそ無理矢理にでも休ませようなどと考えていると、


「あの、咲華さん。起きてますか?」

『! 千鶴ちゃん? どうしたの』

「はい。土方さんに広間まで来いと言われて。咲華さんも連れて」

『? 私も?』

「お客さんだそうです。誰かは来ればわかると」

『…わかったわ、少し待ってて』


お客さん…こんな時間に?

でも私にって事は…あまり良い予感がしないんだけど…

でも、それを確かめる為にも行かないとね。



私は布団から起き上がって、寝巻きから慌ただしく着替えた。



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