確かなメロディー(弐)
□第六十話 夜
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その日の夜――
私達は実家に泊まることになった。
ちょっと騒がしくも賑やかな夕食が終わり、
それぞれの前の部屋で寝ることになった。
静雄さんはどうするのかと云われれば――
「静雄さんは…もちろん桜の部屋よね♪」
「「『…はぁ!!?』」」
お母さんの言葉に、私達兄妹は揃って声を上げた。
『ちょっ、どういう事よ!?』
「え? だって、普通そうじゃないの?
付き合ってる彼氏彼女はこういう時同じ部屋で同じ布団で…」
「んな事、俺が許さねぇええ!!!」
「母さん、今日の静雄さんはお客さんなんだから、客室で寝てもらったほうがいいよ」
「え〜?」
必死に抗議するも、お母さんはそれじゃつまらないと納得してくれない…
どんな母親だ……
「じゃあ…、静雄さんに決めてもらいましょう。本人の意見が一番でしょ?」
「「……」」
「静雄さん、どっちがいい? 桜の部屋か、他の部屋か」
「え、えっと……」
突然話を振られて、静雄さんも焦りの顔になる。
静雄さん…申し訳ないです!!
「じゃあ……客し…」
「静雄さん〜?」
「……………桜の部屋で…」
「はい決定ね♪」
「「『(えぇええええええ!!!?)』」」」
いやいやお母さん最後ほとんど今日は脅迫になってましたが!?
……はぁ
こうして、今日の静雄さんは私の部屋で寝る事に決定…
海音寺家では、お母さんが法律なんです……
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