風舞の音に散る花

□第廿陸話
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『……っ、』


まだ重い瞼をゆっくりと開けると、明るい世界が目に入ってきた。

さっきのが夢で、今が現実の世界なんだとぼんやりした頭が理解し始める。


『……あれ? ここって――』


総司さんの、部屋……?


よくよく見てみると、ここは何度か訪れたことのある総司さんの部屋だった。

私は、何故かその部屋に敷かれた布団に寝かされていた訳で…


…そうだ。昨日の夜、千鶴ちゃんが羅刹に襲われてる所を助けたんだった。

それから皆さんが来てくれて、それを伊東さんに見られてしまって、
それから…山南さんまでもが羅刹化して…

それを……


『……姉様…』


姉様が、止めたんだ…

でも、どうやってだったかな…?

………思い出せない


そんな事を考えていると、姉様や他の皆さんはどうしているのか気になってきた。

もう広間に集まってる時間かな?


私は布団を片付けて、広間へ行ってみることにした。



――――――
――――
――



「あ、咲華さん」

『千鶴ちゃん、おはよう』


廊下を歩いている途中で、千鶴ちゃんと会った。

昨夜の事で部屋が荒れてしまったから、土方さんの部屋で寝させてもらったらしい。


「咲華さん…昨日の怪我は大丈夫ですか?」

『えぇ。もうほとんど治ってるわ。やっぱり鬼の血だからかな』

「そう、ですか。本当にごめんなさい…私のせいで咲華さんに怪我をさせてしまって」

『千鶴ちゃんのせいじゃないし、全然気にしてないわ。あなたが無事だっただけで嬉しいんだから』

「…はい」


千鶴ちゃんはやはり罪悪感は残りつつも、ちゃんと頷いてくれた。



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