確かなメロディー(弐)
□第五十九話 家族
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「「『ただいま〜』」」
ガラリ、と引き戸を開けて、私達は家の中に向かって行った。
もう…6、7年振りぐらいだろうか…
家の外側は何となく覚えてはいるものの、やっぱり内装はあまり覚えていなかった。
私の家は、平屋の外見とは裏腹に結構近代的な感じがだった。
古い感じはほとんど無くて、本当に普通の家っぽかった。
「はいはーい。早かったわね皆」
「ただいま、母さん」
「久しぶり」
「おかえりなさい大和、和真、それに桜」
『うんっ、ただいまお母さん!』
しばらくしてパタパタとスリッパの足音が聞こえたかと思うと、廊下の奥から声と共にその人は現れた。
海音寺遥香――私のお母さん
同じく6年ぐらい振りだっていうのに、この優しい顔だけはずっと忘れなかった。
だって、私のお母さんなんだからね!
「三人共しばらく会わない間に大きくなったわねー」
「もう6年振りなんだから当たり前だろ?」
「フフッ、まぁそうよね。大和も和真も背が伸びて男らしくなって…
桜は…女の子らしくなったわね」
『え〜、ちょっと何さっきの間はー』
「だって昔のあなたは“早く一人前になるんだー!”っていっつもはしゃいですもの。東京に出てうまくやって行けているのか不安だったけれど、大丈夫だったみたいね」
『むー…昔の私ってそんなのだったの?』
お母さんは笑うけど、私はいまいちこれといってはっきりと昔の自分を思い出せない。
本当に、不思議なくらいに…
思い出そうなどと、一度も思わなかったから……
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