確かなメロディー(弐)
□第五十八話 帰郷
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そして――
私達は、ようやく家に着いた。
6年前とほとんど変わらない、私の家……
「…でけぇな」
『そうですか? 普通ですけど』
私の家は片吹作り和風作りの家で、
家というよりも、敷地がとにかく広い。
基本的には自給自足の為大きな畑があるのはもちろん、訓練の為の広場もあるからだ。
『……とにかく、中に入りましょう』
「そうだな」
そう言って、私が門を通ろうとすると――
シュッ
『!!? っ、』
何かを感じたかと思うと、目の前から鋭い物が飛んできた。
二本のそれは私と静雄さんを完璧に狙っていて、
私はとっさにそれを持っていた鞄で払い落とした。
「おー、ナイス反射神経。相変わらずだな、桜」
パチパチと拍手が聞こえる方を見れば、向こうの木の枝に和真兄さんがいた。
いつも通りの、苛々する笑顔だった。
「よぉ〜、俺が唯一認めた男、静雄。元気だっt…ぐはっ!?」
『こんの……馬鹿兄ぃいいいい!!!!』
兄さんが静雄さんに挨拶し終わる前に、私は鞄を投げつけてやった。
バランスを崩して地面に落ちる兄さんに、さらに私は体術でしかける。
『なに静雄さんに向けて危ないもの投げてるの!!? いくら静雄さんでも怪我するじゃない!!』
「っわ、だから、大丈夫なように木枝で我慢してやったのに……おわ!?
」
『何が大丈夫よ!! 一回死になさい馬鹿兄!!』
「ちょっ、桜!! マジで悪かったってお願いだからそれだけは――!!」
「はいはい、二人ともそこまで」
「『!! 大和兄(さん)!』」
そこで横から大和兄さんが間に入ってきて、私達はようやく収まった。
客人を門前に置いたまま喧嘩するなと注意されつつ、私達は久し振りの実家の扉を開けた。
〜続く〜
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