風舞の音に散る花

□第廿肆話
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慶応元年 十二月



『姉様、お帰りなさい』

「ただいま咲華」


その日、姉様は久し振りに巡察の同行に行っていた。

最近、何故か屯所に篭もりっきりになっていたから、どうにか外に出てもらえないかと総司さんにお願いをして、私の代わりに連れて行ってもらったのだ。

久し振りに外に出たおかげか、姉様はいつもより元気そうに見えた。


『どうだった? 久し振りに巡察に行ったのは』

「どうって言われても、遊びに行ったわけないでしょ。でも、そうね…」


姉様は少し微笑んで私を見た。


「気を遣ってくれたのは嬉しいわ。ありがとう。楽しかったわ」

『そっか』


そう言ってもらえて、本当に嬉しかった。

姉様にはいつも笑ってもらわないと。


「あ、そうだったわ。あの事、皆さんに報告しないと」

『? 姉様?』

「咲華、ちょっと言ってくるわね」

『え、あの……』


………どこへ?


聞き終わる前に、姉様は廊下を走って行ってしまった。


あの事って、一体なんなんだろう……?



――――――
――――
――



「――と、いう事がありました」


あの後、すぐに広間に幹部の皆さんが広間に集められた。

その経緯を話してくれたのは、何と姉様だった。


先程の巡察の途中、姉様は知り合いの女の子から島原に怪しい浪士達が行き来しているというのを聞いたらしい。

しかもその浪士の中に、綱道さんらしき人物もいたと言う。


「……なるほど、話はわかった。##NAKE2##君、報告ご苦労だった」

「俺達も、胡散臭え連中が島原界隈をうろついているらしいって情報はつかんでいた」



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