確かなメロディー(弐)

□第五十七話 手紙
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『あー…ちょっと申し訳ない事しちゃったなー』



帰り道を歩きながら、私はさっきの事を思い返してみる。



事実とは言っても……ちょっと意地悪な言い方しちゃったな……


……今度会った時、ちゃんと謝っとかないと



『……あれ?』



何となくカバンの中をいじってみると、封筒が出てきた。


そういえば、朝ポストに入っててまだ開けてなかったんだった。


私は道の端の方に寄ってから、封を慎重に開けてみる。


入っていたのは一枚の和紙。


その上に、とても丁寧な文字が流れるように書かれている。



………この字、見覚えあるような……


なんか、嫌な気がする……




警戒しつつ、私は内容を読んでいく。


そこに書かれていた事に、私は――



『え、えぇえぇえええええええ〜〜!!? うそぉおおお!!!!』



公衆の面前である事も忘れて、思いっきり叫んでしまった。





数分後――


『しーずーおさ〜ん!!!』

「うぉ!? 桜?」



池袋中を走り回ってようやくみつけた静雄さんに、叫びながら体当たりした。



『ハァ…ハァ……』

「どうした? 今日は仕事休みだっただろ」

『あ…あの、静雄さんに用があって。聞きたい事と言うか、お願いなんですけど……』

「何だよ」

『あ、あのですね……』



一度深呼吸して、乱れに乱れた呼吸を正す。


大方治まったところで、私は改めて静雄さんを見上げた。



『あのっ、もし静雄さんさえ良かったら、





一緒に実家に来てくれませんか?』

       〜続く〜



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