確かなメロディー(弐)
□第五十七話 手紙
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6月半ば 東京 池袋
『……あぁ、何でこんなに暑いのよ……』
まだ6月だってのに、もう夏みたいに暑い。
しかも梅雨の所為で空気が常時じめじめしていて、
暑さをいっそうひどく感じさせる……
昨日の夜だって、その湿気と暑さで寝付けず、
起きたばっかりの今がとても辛い。
『はぁ……学校行かないと…』
最悪な事に、今日は大学で講義がある。
それほど重要でも無いんだけど、出席日数だけはちゃんと取っておきたい。
私は簡単に朝食を済ませ、アパートの階段を降りていく。
『……ん? あれって――』
手紙……?
ふと、階段を降りてすぐ目の前のポストに、何かがはみ出ていた。
しかも、私の部屋のポストに。
抜き出すと、それは白い封筒だった。
表には私の住所と名前、
裏は……白紙だった。
……何なんだろ?
仕事の依頼、なのかな?
厚さから見て、危険なものが入ってる訳では無さそう。
でも、今まで依頼を手紙で受け取った事は3、4回あるか無いぐらいだ。
………
『…って、早く行かないと間に合わない!!』
こんな所で悩んでいてもしょうがないと思い、
開けるのは学校終わってからにして今は学校に走る事にした。
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