確かなメロディー(弐)

□第五十六話 家にて
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近くのスーパーに寄ってから、私達は家に戻った。


たった三日程あけていただけのはずなのに、

なんだかとても久し振りに感じられた。





さて、私は愛用のエプロンをしつつ、小さなキッチンに立っている。



「桜、手伝わなくていいのか?」

『あー、はい。大丈夫なので静雄さんはゆっくりしてて下さい』



…よし、やりましょうか



腕まくりをして気合いを入れる私。


今回のメニューはハンバーグ。


一人暮らしだから作るの久し振りだけど、頑張ってみよう!



『えっと…まずはタマネギを微塵切りー……って、うぅ……』


……いきなり難所に入ってしまいました。


私はタマネギ刻むのが超苦手!!


ゴーグルしても泣かなかった事なんて一度もありません!



『あ〜……うぅっ〜〜…』



我慢しつつ頑張って切っていくも、切れば切るほどどんどん目は痛くなって涙が溜まる。


どうしよう……



「桜、代われ」

『えっ? し、静雄さん!?』



水音がしたかと思うと、涙で揺れる視界の向こうに同じく腕まくりをした静雄さんが。


静雄さんは私の手からするりと包丁を抜き取って、

そのまま綺麗なリズムでタマネギを刻み始めた。



……てか静雄さん、上手すぎです!!


何で涙出ずに切れるんですか!?



そんな事言っているうちに、静雄さんは刻み終えてしまった。

早っ!!



「他に手伝う事は?」

『あ、え…他に、ですか……?』



せっかくのお客さんに手伝わせるなんて……


でも、静雄さんホント料理上手そうだし……


てか私より上手だと思う…


じゃあ…――



『……付け合せの野菜、切って下さい』

「おぅ」



結局、私は二人で作る事になりました…



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