確かなメロディー(弐)

□第五十五話 不安から
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その後も…とにかく散々だッた。


茜ちゃんとマイちゃん達と分かれたのはよかったのもの、

やっぱり、一番問題があったのはヴァローナさんだったもの。




次の仕事場へ向かう時も、静雄さんは何かとヴァローナさんに話しかけていた。


たまにかみ合って無さそうな話だったけどお二人は楽しそうで、

私はと言うとトムさんの隣を歩いて後ろの話に耳を傾けることしかできなかった。



………


別に、悪い人ではないとは思うんだけど、

さっきの――静雄さんは私も獲物宣言がずっと耳に残っている。


それに、……茜ちゃんも


二人が静雄さんを好いてるわけじゃない事はわかる。


それぞれ違う別の思い思いで、殺そうとしている……


そんな事……私が絶対にさせない。


私が許さない。


私が、静雄さんを守るんだから。



………

、……ちょっと待って


私は…どうなんだろう



私は静雄さんの事が好きだ。


これからも、ずっとあの人を追い続けられる自信もある。


それはちゃんとわかっている。自分の事だもの。


でも……静雄さんの方は?


彼の方は――これからどうなっていくんだろうか?


ヴァローナさんが入ってきた事で、静雄さんがあの人を気に入ってしまったとしたら……


………


そんなの、考えたくない。


なってほしくない。


でも……人は変わってしまう生き物だ。


私自身がそうなんだから。


……結局私は、

静雄さんをただ独占したいだけなのかもしれない。


私は特に人間らしくて、

人間らしくないから――……




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