確かなメロディー(弐)

□第五十五話 不安から
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一人ぽつぽつと考えている間に、いつの間にか今日の仕事は終わってしまっていた。


結局、あの後からの私の仕事は0だった。



………はぁ、

自分自身が情けないよ…


こんな日々がこれから毎日続くのかな……?



『………無理かも…』

「桜? 何か言ったか?」

『…えっ? あ、……』



おもわず一つ溢してしまうと、静雄さんが顔をのぞき込んできた。


勝手に慌てて、頬に熱がたまるのを感じた。



「さっきからちょっと変だぞ。体調が悪いのか?」

『いっ、いいえ! 全くもって大丈夫です!!』

「そうか。昨日の今日なんだから、無理すんなよ」

『………』



こんな事で……


こうした小さな気遣いでさえ、私は少し安心してしまった。



あぁ……私は、

本当に静雄さんに溺れてしまってるのか


恥ずかしい事だけど…やっぱり嬉しいな…



「なぁ、桜」

『はい。なんでしょうか?』

「突然で悪いんだけどよ…今日、お前の家に行ってもいいか?」

『…………へ?』



…静雄さん、……今、何と?



「いやだから、お前の家に行ってもいいかと」

『きょ、今日ですか!!?』

「ああ。って言うか今から?」

『今からぁあ!!?』



いやそれは……いきなりすぎると言うか、なんて言うか………


でも……、せっかく来てもらえるんだし、断わっちゃ駄目だよね?



『……わかりました』

「突然悪いな」

『いいえ、大丈夫です。
じゃあついでに晩ご飯も食べてってください。今からスーパー寄りますけどいいですか?』

「あぁ、もちろん」



そう言って私の頭を撫でてくれる静雄さんは、どこか嬉しそうにも見えた。



さて、今晩は何にいたしましょうか

      〜続く〜




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