確かなメロディー(弐)

□第五十四話 本当の私
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一番最初に狙われたのはヴァローナさんだった。



「……狙いは、私ですか」



たった一言だけ呟くと、ヴァローナさんは麻袋を被せようとした男の顎を思いっきり蹴った。


よく見たら、履いてるのは鉄板とか仕込まれてそうな安全靴



あ〜……あれは痛い…



考えていたら、マイちゃんとクルちゃんもそれぞれのやり方で反撃していた。


マイちゃんは危ない護身術で、

クルちゃんは危ない護身液で。


一番小さい茜ちゃんもまた、この前私や静雄さんにぶつけたあのスタンガンを押し付けていた。


まぁ、この前よりは威力は落ちてそうだけど



『へぇ……皆やるじゃん』



私も3、4人に囲まれながら、ちょっと笑いながら言っていた。


そしたら、また頭に“私”の声がする。



――こう言うのは私の役目でしょ? 早く代わりましょう



……ううん


今回は、私がやる



――え……?



たまにはいいでしょ


私だって久々に暴れたい気分なのよ



そう返したら、それ以上何も返ってこなかった。



ありがとう、わかってくれて


じゃあ……



『始めましょうか』



それと同時に、フォルダーからナイフを抜いた。


その動きのまま、周りの一人の足に、ぶっ刺す



「ガッ!?…な…」

「テ…テメェ!!」

『うーん……やっぱり気持ち悪いね、人刺すのって。じゃ、もうこれ使うのやめるわ』



刺さったままのナイフを適当に抜いて捨てる。


刺された男は絶叫をあげるけど、そんなの全然気にしなかった。





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