確かなメロディー(弐)
□第五十三話 ライバル達?
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数時間後 池袋 鬼子母神堂前
「ったく、サイモンや寿司屋の大将の知り合いって時点で、想像しとくべきだったか……後始末するこっちの身にもなってくれよなぁ……」
「? 後始末、すなわち、死体にして処理せよという事ですか。東京湾に沈下させる、日本のスタンダードと聞きました」
「そんなスタンダードはねぇ。静雄も桜ちゃんも何とか言ってやれよ」
「……いや、俺が言えた義理もないんで」
『私も……ある意味そうかと…』
アハハと、私も苦笑しか返せない…
って言うか、鬼子母神様が祀られてるお堂のすぐ近くでどんな事話しながら歩いてんだ私達は
新人――ヴァローナさんが一緒になってから何件か取り立てが終わって……って言うか、ほとんど相手がヴァローナさんに変態な事や脅し的な事を言った挙句、静雄さんや私が動く前にヴァローナさんが暴れて地獄送りにするのばっかりだったんだけど。
次の仕事場はここの近くらしいので、その前に休憩する事になった。
さっきから一方的な喧嘩をずっと見てきたもんだから私はもう頭が痛くなってたんだけど、
ここは都会近くなのに緑が多い場所だから、心が休まる感じがした。
……いや、実際には休まってなんか無くて、
逆にまだハラハラしてたりする…
「あんた、ずいぶん強いみたいだけどよ、格闘技かなんかやってるのか」
「………
色々と、初歩の初歩だけ学習してきました。幼少の時期は書物で。思春期からは実戦をかねて。デニスとサーミャ……貴方達がサイモンと呼ぶ人物から、護身術程度の事は学びました」
『………』
何を話したらいいのかとちょっと迷っていると、静雄さんはヴァローナさんと話していた。
ヴァローナさんの方は、無表情をちょっと複雑に見返しながら。
『………』
……ヤダな…こういうの
私は無意識に、お二人と少し場所を空けていた。
こうしてみると、話をしてるお二人がお似合いのように見えて……
やっぱり、静雄さんは歳近い方が好きなのかな…
私なんて歳かなり離れてるし、背小さいし、子供だし……
自分を見下ろすと、ハァとため息が出た。
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