風舞の音に散る花
□第廿話
4ページ/9ページ
解散となって部屋に戻ってきたのは、もう寝る時間近くだった。
『う〜ん、この部屋久し振りな感じがする。五日間しか離れてないのにね』
「……そうね」
明るく言ってみたんだけど、姉様はどこか上の空っぽく返してきた。
どうしたのと聞いてみれば、先ほどまでの嬉しそうな笑顔が消えていて、また少し悲しそうな表情になっていた。
『……姉様?』
「……ごめん、ちょっと土方さん達にもうちょっと話す事があってね。遅くなると思うから、先に寝てて」
『え……まだ話す事があるの?』
「えぇ」
さっきの話で、私達の事はもうほとんど話し終えたはず。
あれ以外に、一体何を話すんだろう……
「………」
『……わかった、気をつけてね』
「……止めないのね」
『だって、姉様が決めた事を止めるわけにはいけないから』
「ありがとう、咲華。それから……ごめんなさいね」
『何が?』
「……あの時のこと…」
私を見る姉様の瞳が迷っていた。
何を言うのか怖がってるんだと、私は直感した。
……なんで、謝るの?
『姉様が謝らないでよ。あれは私にも責任があるのよ』
「でも……」
『大丈夫っ。さっき全部話してくれたんだから、何も怒ってないって』
「……そう。
じゃ、おやすみ咲華」
『うん、おやすみなさい』
姉様は最後にもう一度微笑んでくれてから部屋を出て行った。
………
やっぱり、一人は寂しいな…
足音が聞こえなくなってから、私は何となく孤独感に襲われた。
記憶が戻ったせいか、一人でいるのがどうしようも無く不安に感じられた。
さっさと布団を敷いて寝てしまおうとした矢先、
「咲華ちゃん」
『…総司さん、ですか?』
「そう。入ってもいい?」
『ぁ…、はい』
.