風舞の音に散る花
□第廿話
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話し終えた後、誰もすぐには話さなかった。
私も、何だか怖くなって口を開けなかった。
皆さんに、怖がられてしまっていたらどうしよう…
黙っていた事を罵られたらどうしよう……
私の頭には不安が溜まる一方だった。
「…鬼達がお前達を探すのは何故だ?」
「……理由は、私にもよくわかりません。でも私達がここにいる限り、またやって来る事は必至でしょう」
「「「………」」」
「皆さんが望むのなら、私達は黙ってここから去ろうと思います。もう……皆さんに迷惑はかけられませんから」
『姉様……』
土方さんに返した答えに驚いた訳ではなかったけど、無意識に見てしまった。
姉様は言葉では答えてくれくれなかったけど、本気だという瞳がそれを教えてくれた。
「迷惑なんかかかっちゃいねぇ。お前達がここにいたいなら、ここにいればいい」
『ぇ……』
「土方さん……」
意外と言えば正直意外だったんだけど、最初にそう言ってくれたのは土方さんだった。
「そうだぜ二人とも、ここにいたいならずっといていいんだぜ!」
「鬼の事とかよくわかんねぇが、一度守ると決めたものを守るのが俺達新選組だ!」
「迷惑どころか、お前達には助けてもらってばかりだよ。次から俺達が守ってやるから安心しろ」
「皆さん……ありがとうございます!!」
皆さんに言葉と笑顔をもらって、私達は目に涙を溜めながら頭を下げた。
今まで色んな事があったけど、こんなに嬉しい事は本当にないと思えた。
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