確かなメロディー(弐)

□第五十二話 緊急事態発生?
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露西亜寿司がすでに見えている所まで来て、



『……?』



私は嫌な気配を感じた。


何と言うか……

平凡だった人がいきなり強い殺気を放って、治まりかけたと思ったら悔しがったり……


お店の中から見たいだけど、誰なんだろ?


お客さん……って考えるのが妥当だけど…



「桜? どうかしたのか?」

『、何でもありません…』



考えていたら静雄さん達は先にお店に入りかけてしまっていて、私は慌てて暖簾をくぐった。



「オー、静雄に桜、久々ネー!」

『サイモンさん、お久し振りです』



久し振りに会ったサイモンさんに挨拶して、私は静雄さんの隣の席に座らせてもらった。



「桜はスシ何食べるネ?」

『私は…、えっと……じゃあ、マグロ握り二点セットで』

「あいよー」



店長さんが切り身を切ってくれてる間に、サイモンさんは私に話しかけてくる。


静雄さんはトムさんと話してるみたいだし……いいよね



「桜最近どうヨ? 先輩から後輩になって」

『後輩って、確かに大学では一番新しいですけど、帝人君や正臣君達は今でも大事な後輩ですよ』

「……紀田、ねェ」

『………』



正臣君の話になって、私達は伏せ目になって無言になる。


帝人君と正臣君の関係はまだ戻っていない。


早く、また仲良くなってくれたらいいんだけど……



「サイモンせっかく久々に桜ちゃんが来てんのに暗い話してんじゃねぇよ」

『店長さん……』

「はいよっ、マグロ握りセット」



不意に店長さんが割り込んできて、私の前に頼んだお寿司を置いてくれた。


気遣ってもらったのを感謝しつつ一つ食べると、入っていたわさびでちょっと涙目になった。



『……ちょっと、これは入れすぎでしょ』



でも、やっぱりお寿司は美味しかった。




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