確かなメロディー(弐)
□第五十二話 緊急事態発生?
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“もう一人の私”が消えていって、代わりに私が目を開けた。
握られた携帯を見てみると、通話履歴にはちゃんと臨也さんの携帯があった。
……臨也さんが…、私を好きだったなんて……
私、本当に大馬鹿だ……
でも、どうして“私”は、あんなに何でもきっぱり言えるんだろう
うらやましいな……
自分自身にそんな事を思いながら携帯をポケットに直そうとすると、
そこで、一瞬手が止まった。
……あれ?
最後…“私”何を話してたんだろ
思い出せない……
前は全部記憶が残っていたはずなのに、さっきの記憶は途中までしかない。
何か、私に伝えられないことでもあったのだろうか。
…………
まぁ、今度臨也さんに会ったら聞いてみよう
いつ会えるかはわからないけど
「おーい、桜ちゃーん」
『! はーい!』
向こう側からトムさんの声が聞こえて振り向いたら、静雄さんも一緒にいた。
『もう終わったんですか? 早かったんですね』
「おうよ。静雄がまた相手殴って二階から落とすっつー終わり方だったんだが……桜ちゃんさっきの音で気付かなかったのか?」
『あ、え、えぇ……電話に夢中になっちゃって…すいません』
気付くはずがない
その時、私はここにはいなかったんだもん
「いや別に謝られる事でもねぇべ。
んじゃ、次の場所行くかー」
「はい」
『わかりましたっ』
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