風舞の音に散る花

□第捨玖話
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同じ頃 風間の屋敷



「まさか…、美咲が呪言を使ったなど…」


咲華から話を聞いた後、別の部屋で風間と天霧と不知火は集まっていた。


「いくら奏神子と言えど呪言を操れるのは極稀とされているはず。それを巫女のままで発動させるとは……」

「けどよぉ、完璧じゃない呪言で里一つ滅ぼせんのか?」


不知火の言葉に、空気が一瞬固まった。

天霧は厳しい目で不知火を睨み、風間は腕組みした手を握る力を強くする。


「……普通ならあり得ん。だが、咲華の記憶が消えるほどの代償がかかったとすれば……」

「「………」」


そこまで言えば、誰でも原因は予想できた。

その残酷さに、二人も何も言わなかった。


そしてまたしばらく経って、


「姫巫女様は、どうするのですか?」

「……約束通り、明日美咲の所へ返す。
そして、次に会った時こそ我らの元へ連れ戻す」


天霧が聞いて、風間は当然の事のように言った。

その答えに、天霧の目は少し細まった。


「姫巫女様も奏巫女様もそれを拒むとわかっているでしょう」

「あいつ等を、あんな人間の下になど置ける訳がない!! 二人は、俺が守る!!」

「……何故、そこまで巫女様方にこだわるのですか」

「………約束したのだ、あいつと」


あいつって誰だよ、と聞いてくる不知火の言葉を無視し、風間は格子戸のかかった窓の外を見つめた。


「……千紗…」


誰にも気付かれないほど、そう小さく呟いて……



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