確かなメロディー(弐)

□第五十一話 call you
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≪へぇ…、最初にかかってきたのが君か。正直言って意外だね≫

『………悪かったですね。意外で』

≪冗談だって。そんな苛立たないでよ。……“桜”≫




………やっぱり


この人は最初から桜じゃなくて“私”がかける事に気付いてたんだ



誰かに自分達を見通されてたのが少し癪で、“私”は携帯を持つ手を強めた。




『単刀直入に伝えてさっさと切りますよ。
桜からです。“怪我大丈夫ですか? 自業自得も程々に”
以上です、切ります』

≪待った待ったそれは短すぎる! もうちょっと労りの言葉ぐらいかけもいいんじゃない?≫

『自業自得の人に労りなんてしませんよ』




でも……、と一度言葉を切る。


少し息を吸ってから、続きを話す。




『“私”は良いとして、桜の方は結構心配してました。これは事実ですよ』

≪………≫

『少しは驚きました? 正直、私は意外だとは思いましたけど』




そう……、

本当に、これは意外だった


人一人に想いを伝えるのさえ戸惑い続けていた彼女が、

他人…しかも恨むべき人の心配をするなんて


いや……、

他人って言うのは、間違ってるかな





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